大本神諭について

●出口直が半紙に筆で自動書記したものを「筆先」と言います。霊界物語にも「開祖の筆先」と出てきます。文盲の出口直が平仮名を中心に書いたもので、独特の書体(要するにヘタ字)なので読むのはなかなか難しいです。

 この筆先に王仁三郎が漢字をあてはめて普通に読めるようにしたものが「大本神諭」です。

●明治25年旧元旦の夜、出口直は艮の金神の霊夢を見て、以後神懸るようになったわけですが、最初から筆先を書いたわけではありません。最初は口で何やら叫ぶだけです。キチガイ婆アと思われて座敷牢に閉じ込められ、落ちていた釘で柱に何か文字を書いたのが筆先の始まりです。

●牢を出た後で半紙に書くようになりました。書き始めたのは明治26年からです。大本神諭の中には明治25年という日付が書いてあるものもありますが、それは初期の筆先を後にまとめたものです。明治25年に書かれた筆先は存在しません。

 明治26年(1893年)から昇天する大正7年(1918年)に至るまで、およそ24年間?で半紙20万枚(20枚綴りで1万冊)にもなりました。

●その中には信者個人に関する話題の筆先もあるので、すべてを公開する必要はありません。公開するには取捨選択する必要があります。それに平仮名主体で書かれたので、いろいろな意味に解釈できます。

 艮の金神から、筆先を取捨選択したり解釈する権利を与えられたのが王仁三郎です。

 ですから、王仁三郎以外の人が筆先を解釈して漢字に当てはめても、それは参考意見にしか過ぎません。権威のあるものではありません。

●大本神諭は当時の大本の機関誌『神霊界』で発表されました。大正6年2月1日号(第44号)から掲載が開始され、第一次大本事件後の大正10年5月1日号(第137号、これで廃刊)まで毎号のように掲載されました。

●神霊界に掲載された大本神諭はまとめられて単行本として出版されました。

 大正7年12月に『大本神諭 第一輯』が、翌8年2月に『大本神諭 第二輯』が出版されました。

 この2輯を合わせて、8年11月に『大本神諭 天の巻』が刊行されました。計画ではその後『火の巻』『水の巻』『地の巻』と計4巻出そうとしたようですが、『火の巻』は9年7月28日に出版された後、すぐに当局により発禁処分となり、残りは出版されずに終わっています。

●一次事件の後、霊界物語の著述が進められて行きましたが、その中にも大本神諭が収録されています。

 第60巻の第20~25章の「三五神諭(おおもとしんゆ)」がそれです。大正12年に書かれています。

 これは開祖の「筆先」を新たに解釈し直したものです。筆先の瑞霊的解釈と言ってもいいかも知れません。用いられている言葉に違いがあるのです。

●(1)まず、大本神諭で「立替え立直し」という言葉がほぼすべて「天の岩戸開き」に置き換えられています。

 たとえば明治25年旧正月の初発の神諭の一節、「神が表に現れて、三千世界の立替え立直しを致すぞよ」は、三五神諭では「神が表に現れて、三千世界の天之岩戸開きを致すぞよ」になっています。比較して読んでみて下さい ↓

  ・霊界物語 60巻20章「三五神諭その一

  ・大本神諭 明治25年旧正月

 「立替え立直し」と聞くと、破壊と再生というニュアンスで、「この世の終わりが来るー!」みたいな終末論にもつながって行きますが、「天の岩戸開き」と表現することで、20世紀から現代にかけて起きている地球の変化の違う側面が見えてきます。一つの角度だけから見るのではなく、多様な角度から見ることで、物事の本質がより鮮明に見えてきます。「立替え立直し」と言うのも「天の岩戸開き」と言うのも同じことであり、もちろんアセンション(次元上昇)と言うのも同じことです。

●(2)「外国は獣類(けもの)の世」というような、外国差別・国粋主義的な表現が修正されています。

 初発の神諭の例ですと、「外国は獣類の世」が「今日(いま)は獣類の世」に、「外国人にばかされて」が「邪神(あくがみ)にばかされて」に修正されています。

 天声社から出版されている『おほもとしんゆ』(通称・七巻本)ではこれらの差別的表現が削除されていますが、霊界物語ネットで掲載中の大本神諭(暫定版)は削除せずに神霊界に書いてある通りにテキスト化しています。

 しかし文字面だけ読んで、「そうか、外国人は獣なんだな」と誤解しないで下さいね(笑)(今どきそんな人いないか)。

 外国がそうだとしても、日本もそうなっているとしっかり書いてあります。外国も日本も、今はどちらも獣の世です。外国だけがひどいわけではありません。

●(3)神のイメージが恐い神ではなく、優しい神になっています。たとえば初発の神諭で「この世の鬼を往生さして、地震 雷 火の雨ふらして」と書いてあるのを、「慈神 神也 慈悲の雨降らして」に修正しています。火の雨ではなくて慈悲の雨です。スゴイ読み替えですね。

 キリスト教で言うなら、旧約的な神から新約的な神への変換です。

 他にも修正点はありますが、全体的に見て、厳霊的な神示から、瑞霊的な神示に変化しています。これについてはまた別の機会に詳しく話したいと思います。

●大本神諭は二度の大本事件によって王仁三郎の直筆原稿が失われました。そのため『神霊界』に掲載されているものが、現存する唯一の全文そろった原文とのことです(『おほもとしんゆ』第一巻あとがき)。

●戦後、昭和25年(1950年)8月に『大本神諭 第一集』が刊行。これはこの一冊しか刊行されていません。

●昭和43年(1968年)から『大本神諭』全5巻(通称・五巻本)が刊行。これは王仁三郎が編纂した大本神諭ではなく、全く新しい?発想で編纂されており、大本神諭ではない筆先も漢字が当てはめて収録されています。

 しかしあまりにも字句の修正が多すぎます。差別的表現が削除されているだけでなく、三五神諭の字句も流用されており、これは全く新たに編纂された大本神諭と考えた方がいいでしょう。

 書かれた年代順に収録されています。仮名遣いは新仮名遣いです。

●昭和58年(1983年)から『おほもとしんゆ』全7巻(通称・七巻本)が刊行されました。

 こちらは神霊界の掲載順で収録されています。仮名遣いは新仮名遣いです。

 やはり差別的表現は削除されていますが、基本的に削除だけです。他に「外国」が「がいこく」に平仮名化されてたりします。

 霊界物語(修補版)もそうですが、天声社から出されている大本神諭は、差別的表現が削除されているのが特徴です。これは原理主義的立場から見たら「改竄」に他なりませんが、現代を生きている宗教団体にとっては仕方のないことでしょう。教典に「外国は獣の世」なんて書いてあったら、テロリストの仲間のように思われてしまいます。

 これはPC(ポリティカル・コレクトネス)と言って、キリスト教の聖書などでも、差別や偏見をなくすための言い換えや削除が行われています。時代に応じた対応ですね。

 その点、オニドは宗教団体ではありませんので、この辺りは考慮していません。なるべく原典に忠実に、という立場です。

●天声社以外では、次のような本が出版されています。いずれも学者が編纂したもので、こちらの方が原典に忠実です。差別的表現もそのまま載っています。

 ◆『日本庶民生活史料集成 第18巻 民間宗教』1972年、三一書房、P3~P104 ・・・ 火の巻が底本です。

 ◆『大本神諭 天の巻』『大本神諭 火の巻』1979年、平凡社・東洋文庫 ・・・ これは文字通り、天の巻と火の巻が底本です。

 ◆『大本史料集成 Ⅰ 思想篇』1982年、三一書房、P13~P485 ・・・ 神霊界を始め、いろいろなところから引っぱってきて、年代順に収録しています。

●2010年11月から2012年8月にかけて愛善世界社で『大本神諭』全5巻が刊行されました。こちらは年代順の収録です。(これを愛善世界社版と呼びたいと思います)

 それとは別に2010年4月に『大本神諭 水の巻』が出版されています。これは当局に押収された原稿が残っていたようです。ただし内容は神霊界に掲載済みのもので、それ以外の神諭があるわけではありません。

●以上、大本神諭の歴史を見て来ましたが、結論として言えるのは、大本神諭は神霊界に掲載されたものがすべてである、ということです。

 王仁三郎が発表した大本神諭以外の「筆先」は、特に知る必要はありません。何故なら発表しなかったものは、それほど重要ではないからです。通常の宗教なら重要なことは隠すかも知れませんが、王仁三郎は暴露主義であり、王仁三郎に秘密は何もありません。すべて表に出しています。隠さなきゃいけないようなものは、私たちが知る必要のないものです。

 厳密に言えば、神霊界には平仮名のままの筆先も掲載されています。それに五巻本や大本史料集成には、大本神諭以外の筆先も収録されています。それらは大本神諭というより「筆先」です。

●ということで、オニドで編纂している大本神諭は、神霊界掲載のものを底本としています。

 ただし底本そのまんまではなくて、何らかの修正は必要です。誤字の修正や、句読点の追加、削除など。それにルビ。そして漢字が多すぎるので現代人には読みづらい、改行も少ない(これは昔は紙数の節約のために漢字が多く、改行が少なかったのだと思います)。

 いろいろ手を加えなくてはいけませんので「飯塚弘明・編纂」ということで編纂してゆきます。

 それとは別に筆先も収録してゆきます。こちらは優先度が低いのでまだまだ先のことです。

【まとめ】

  • 明治25年(1892年)旧正月に、綾部で出口直に国祖・国常立尊が神懸り、翌26年から大正7年(1918年)11月に昇天するまで、半紙20万枚で筆でメッセージが記された。それを「筆先」(ふでさき)と呼ぶ。
  • 筆先は平仮名と漢数字だけで書かれており、一見して何が書いてあるのかよく分からない。そのため出口王仁三郎が漢字を当てはめて、ふつうに読めるようにした。それを「大本神諭」と呼ぶ。
  • 筆先のすべてが大本神諭化されたわけではない。大本神諭になっていない筆先もある。
  • 大本神諭は、機関誌『神霊界』大正6年(1917年)2月1日号から大正9年(1920年)4月1日号にかけて掲載された。
  • 『神霊界』には「おふでさき」と題して平仮名文の筆先も掲載されている。
  • その後、単行本として刊行された。今までに大本教団から刊行された大本神諭には次のものがある。
    • 大正7年(1918)12月、『大本神諭 第一輯』が大日本修斎会から発刊。
    • 大正8年(1919)2月、『大本神諭 第二輯』が大日本修斎会から発刊。
    • 大正8年(1919)11月、『大本神諭 天之巻』が大日本修斎会から発刊。(前掲の第一輯と第二輯を合わせたもの)
    • 大正9年(1920)7月、『大本神諭 火之巻』が大日本修斎会から発刊。(8月に発禁処分となる)(水の巻、地の巻も発刊予定だった)
    • 昭和35年(1960)6月、『大本神諭 第一集』が天声社から発刊。(全1巻)
    • 昭和43年(1968)11月、『大本神諭』全5巻が大本教典刊行会から発刊(~昭和46年)。通称「五巻本」と呼ぶ。
    • 昭和58年(1983)2月、『おほもとしんゆ』全7巻が大本神諭刊行会から発刊(~昭和59年2月)。通称「七巻本」と呼ぶ。
    • 平成22年(2010年)4月、『大本神諭 水の巻』(別冊大本教学)が大本信徒連合会から発刊。
    • 平成22年(2010年)11月、『大本神諭』全5巻が愛善世界社から発刊(~平成24年8月)。通称「愛善世界社版」と呼ぶ。
  • 教団外から刊行されたものとしては主に次のようなものがある。
    • 昭和47年(1972)3月『日本庶民生活史料集成 第18巻 民間宗教』に収録。(大正9年刊『大本神諭 火之巻』が底本)
    • 昭和54年(1979)1月『大本神諭 天の巻』、2月『同 火の巻』が平凡社・東洋文庫から発刊。
    • 昭和57年(1982)6月『大本史料集成 1』に未発表の筆先も含めて収録。

【現在入手可能な大本神諭】

【資料】



プリンタ用画面
投票数:5 平均点:10.00

外部リンク

お友達リンク

Amazon広告タテ

Amazon広告ヨコ